選考結果はいかに?
〜キリンチャレンジカップ vs UAE戦〜
2000年8月16日
いよいよオリンピック南アフリカ戦まで1ヶ月を切った。
UAE戦はオーバーエイジ枠を決めるための最後の実戦テストと見て良いだろう。
この段階でのやり方は二通りある。
一つはオーバーエイジ候補と五輪メンバーとのコンビネーションを見るやり方。
二つ目はオーバーエイジ候補の五輪チームシステムの中でのパフォーマンスを見るやり方。(現在の調子も含めて)
強い国は後者のやり方をとるだろう。何故なら強い国の選手、特にオーバーエイジで選ばれる様な選手はどんな選手とやっても、コンビネーションは当然のごとくある一定のレベルでこなせるからである。
アトランタの時の様に、予選を戦った選手でやるべきかどうかという議論が起こること自体サッカー後進国である証拠で、強国の場合、その国のベストの選手を入れることでチームワークがどうこうといったことを超越しているはずなのだ。
当然オーバーエイジ枠に選ばれる選手は、五輪メンバーとのコンビネーションどうこうではなく、五輪チームの弱い部分のレベルを上げることのできる選手である。
さて、そんなことをつれづれと考えながらUAE戦の先発の発表を楽しみに待っていた。
もちろんオリンピックメンバー主体にメンバーを組んで来るものとばかり思っていた。どちらのやり方を選んだとしても主体は五輪メンバーだということに変わりはないからだ。
しかし蓋を開けてみると、スターティングメンバーはフル代表に近いメンバーになっていた。(小野を含めた中盤の配置は流動的)
久保 西澤
小野 森島
中村(俊) 稲本 望月
服部 宮本 森岡
楢崎
トルシエ監督はオーバーエイジ候補とオリンピックメンバーの相性どころか、私の浅はかな想像を越えてきた。
彼にとって今の五輪、フル代表には大きな区別はないらしい。誰が入っても同じようなパフォーマンスが出せるという前提に基づいてメンバーを組んだのだろう。
中田、名波がいないフル代表と言っても過言ではない布陣。ただし肝心の守備では、楢崎、森岡、服部、宮本と確実に五輪メンバーを意識してテストしてきている。
攻撃に関しても、全体のコンビネーションどうこうではなく、中田を入れるためのポジションを空けたまま、小野、中村をテストしている感じがした。
オリンピック選考対象選手を中心に個人を見てみる。
森島のパフォーマンスの高さは相変わらず。オーバーエイジ枠候補に入っていないのが不思議な感じはした。しかし、中盤のタレントがそろっている五輪代表では、他のポジションを埋める必要があるのだろう。
高原は相手DFを引きずってシュートまで持っていく力強さが良かった。柳沢は動きの質が相変わらず良い。
俊輔は若干、左サイドのえぐりに物足りなさを感じたが、相手カウンターをケアする試合内容を考えると仕方なかったのかもしれない。もちろんセットプレーは彼が欠かせない事は言うまでもない。
小野は、J2でやっているという点が気になったが、なんどか左サイドからのすばらしいロングのサイドチェンジで右サイドのチャンスを演出していた。今回左サイドより右サイドの方が攻撃が機能していた様に見えたのは、俊輔と小野が左サイドの低いところのキープからサイドチェンジするという展開が影響していたのだろう。
稲本。またまた成長しているような気がした。少し前までの体格を生かしたがつがつしたあたりというより、目立たずに相手攻撃の芽をつぶしているシーンが多々あったと思う。早めはやめのポジショニングで、ボールに対する激しいチャージに至る前に攻撃の芽を摘み取っていたからこそ、今までのような目立つあたりが少なくても済んだのではないか。
今では代表に欠かせないボランチになったというのもうなずける気がする。
DFに関しては、服部、森岡どちらを選ぶのか非常に興味深い。服部の攻撃力も捨てがたいが、森岡の安定した首尾もすこぶる良い。中田(浩)がいることを考えると、森岡を選ぶ方が妥当か?
キーパーはやはり楢崎なしには語れない。この世代、GKに関してはやはり不安がいっぱいある。枠さえ許せば、川口も連れて行きたいところだろう。
さて、試合内容。
UAEは日本との実力差を知ってか、前に出てこない。当然中盤では日本がほぼボールを支配する試合展開。
しかし、今までの日本と違うのは、ボールだけでなく試合をも支配していた点だ。
UAEは先制されてからも、そして2点差がついてからも決して無理に攻めてこようとはせず、常にカウンター狙いで来た。おそらく攻めてでた場合、時間がたっぷりあれば点を取られる可能性が高いと見たからだろう。
残り10分を切るまでは、あわよくばカウンターで1点差、そして総攻撃で同点といったシナリオだったのかもしれない。
しかし日本のディフェンスはUAEのカウンター攻撃を、落ち着いて対処し得点を許さなかった。もちろん何度か危ない場面はあったが、本当の決定機は前半の一度だけだったと思う。
そして、地力の差を見せるように守る相手にセットプレーで得点を重ね、UAEが攻めに転じた43分(だったと思う)、流れの中から見事な得点シーンが生まれた。
本山−柳沢−高原−奥。
ワンタッチでつながるワンダフルな得点シーン。現在の日本代表選手のアドリブが完璧にシンクロし、約束事を越えた瞬間。
今までであれば、UAEの守る戦法になかなか追加点が挙げられず、セットプレーで同点にされて引き分けに持ち込まれていただろう。終了直前のフリーキックからの失点のシーンで、まさにそういった試合展開が脳裏をよぎった。
しかし今の代表は違う。
相手がカウンター狙いできている時間帯をしっかり守り、攻めきれないときはセットプレーで得点を重ねる。そして相手が出て来る時間帯には、流れの中からしっかりと得点へつなげ相手の息の根を止める。試合を支配していたと言える内容だった。
アジアカップ出場を逃しているUAEとはいえ、現在の日本のサッカーの成長を見せてくれた試合だったといえる。
そしてオーバーエイジ枠。私なら、楢崎、森岡、服部。もしくは楢崎、森岡、森島を連れて行きたい。西澤の変わりは柳沢、高原、平瀬で十分に埋まるはず。
さて、五輪代表の選考結果はいかに。
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