何を得たのか?
〜 シドニー五輪決勝トーナメント vs USA 〜
2000年9月23日
マスコミはうるさい。
まぁ、オリンピックだから仕方ないとはいえ、すぐメダルに話を持っていこうとする。
しかしサッカーファンから見れば、オリンピックサッカーというのは、他のオリンピック種目とは違って、W杯につぐ世界大会なのだ。ベスト4、決勝に進んで欲しいとは考えても、銅メダルが欲しいとか、金メダルが欲しいとかなんて価値観を持っている人はほとんどいないだろう。
それを、ちょっとブラジルといい試合したからといってすぐメダルの話を出す。あまりにもサッカーを馬鹿にしてるとしかいえない。
まぁ、それはいいとして、決勝トーナメント初戦。相手は米国。
前評判では、米国は8チーム中8番目とか、やりやすい相手だとか楽観的な予想が報道されていた。
しかし、試合が始まってみるとまったく違う。組織プレーがしっかりしており、早め早めの仕掛けから早い展開でサイドをつく。3バックの弱点をつかれ、日本は予想外に劣勢に立たされた。
原因は、ボランチ・ウィングハーフのフォローの遅さ。
米国の早めのサイド攻撃を恐れるあまりに、マイボールになった時にボランチ、ウィングハーフのフォローが遅れ、攻撃をフィニッシュする前にカットされ、そしてまたまた早めのサイド攻撃を受ける悪循環。
この時に、思い切ってフォローし、キープできていればもっと楽な展開になっていただろう。
しかし、そこでもしっかり主導権を握るのが五輪代表のすごいところ。
前半30分頃、俊輔のフリーキックから始まった流れから、柳沢が先制。
そして後半、米国に押し込まれいったん同点にされるも、またまた俊輔の右サイドからのクロスを高原がヘッド、GKに当たってこぼれたところをさらに高原に左足。
ここまでは、五輪代表の強さを見せつけた試合展開だった。
しかしここからリズムが狂う。原因は審判の曖昧な判定だった。
同じプレーでもファールをとるときとらない時が曖昧。特に、日本の選手がファールを受けてボールを奪われた時に流す事が多い。
そして極めつけは米国の2点目。試合を作ってるつもりだったのだろうがあれはひどい。
米国のロングフィードをヘッドして、ゴール左前に流れたボールを酒井が追う。それを米国の選手が後ろから追い抜かすように走ったが、前を走る酒井に引っかかり転倒、そしてPK。
酒井が後ろから行って引っ掛けたのであればPKも仕方ないところであるが、倒された選手が後ろから抜かそうとして転んだ場合、ダイビングを取ることはあっても、抜かされたほうのファールをとることはまず無い。
終わったことは仕方ないが、そのひどいPKで同点に追いつかれた。
そして延長に入ったが、両サイドの攻めが厳しいため、トルシエは攻めのオプションの本山を投入できない。それでもチャンスはたびたびあったが、米国GKのファインプレーに会いゴールを決めることは出来なかった。
そして、PK戦は今大会キックの調子が良くない中田英がはずして1回戦敗退。
非常に悔やまれる試合であった。
選手達は良く頑張っていた。攻撃のアイデアは明らかに日本の方に分があった。さらに苦しい守備陣も試合終了間近まで米国の攻撃を1点に押さえ、ほぼプランどうりの戦いであった。
しかし勝利の女神は微笑まなかった。
米国に負けた事、1回戦敗退したこと、それが悔しいというよりは、スペインと出来なかったこと、世界大会を少しでも上のレベルで経験できなかった事が悔しい。
メダルが欲しいわけでも、優勝して欲しいわけでも、ブラジルに勝って欲しいわけでもない。世界大会で一つでも多くの試合を経験し、一つでもビッグネームとの対戦を経験し、世界というもののすごさと、世界というものがそれほど恐れるものでは無いことを身に染み込ませてほしかった。
それが残念でならない。
しかし、この大会で選手達は世界がそんなに甘くないことも身にしみてわかっただろう。
ワールドユースに続いて、勝ち上がっていけるようならもしかすると今後の成長を止めてしまったかもしれない。
今大会に参加した選手は、悔しさとともに、世界でやっていくためには自分に何が足りないかを感じたことだろう。
ぜひ、この経験を2002年、そして世界へとつなげて欲しい。
彼らにはその義務がある。
最後に付け加える。PKをはずしたことで中田を責めたり、点を決められなかったことで柳沢を責めたりといったことがあるかもしれない。
しかし、このチームにおいて彼らは明らかに必要な選手であった。たとえキックの調子が悪くてもチームを作る上で中田は必要不可欠、ゴールへの姿勢が見られなくても、高原とのバランスを考えた場合柳沢は絶対に必要な存在。
またPKを与えた酒井も、攻守のバランスを取る上で絶対にはずせない選手。その他の選手も、サブを含めてこの五輪代表には必要な選手であったことを忘れないで欲しい。
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