第一講義   食中毒

食中毒と聞いて何を連想しますか?発熱、下痢、嘔吐などなど・・・でも、これらはまだ軽い症状(程度の差はありますが)。ひどい場合は、死に至るものまであるのです。だから、ちょっとだけ、簡単に食中毒のさわりだけでも知っておいてください。

食中毒には大きく分けて細菌性、自然性、化学性の3つがあります。これらをひとつずつ説明していくわけですが、なんせ量がさわりだけでもかなりあります。なので、最低限の説明に留めておきます。

  1. 細菌性食中毒
  2. 自然毒の食中毒
  3. 化学性食中毒

 

1. 細菌性食中毒

細菌性食中毒は大きく分けて感染型毒素型があります。感染型は菌の増殖によって起こります。毒素型は菌そのものが毒素を出すことによって起こります。ここではこの2つの型に分けて説明したいと思います。

感染型

  •  サルモネラ菌

鶏肉や卵、お弁当、あんこと私たちの身近なところにサルモネラ菌はいます。原因はサルモネラがにわとりや、ねずみ、ゴキブリ、ハエなど、人間にみじかな動物を宿主(生息場所)としているためです。潜伏期間(菌が体内で増殖する時間)は12〜48時間。40℃近い発熱や下痢・嘔吐が1〜3日続きます。予防法としては、菌を増殖させないために加熱・冷蔵することでかなり防げます。

特に、鶏の体内に多くいるので、鶏肉を切ったまな板は良く洗い、卵は冷蔵庫にしまう時にエッグストックにそのまま(パックのまま)いれることがお勧めです。(産卵のときに殻に菌がつくため)

 

  •  腸炎ビブリオ

腸炎ビブリオは好塩菌(塩分濃度3%以上)なので海産物の生食(カキ・イカ・タコ・エビなど)で起こりやすい。(よくカキとかで当るのはこれがほとんど)あと、漬物。原因は海水に多く生息しているため。潜伏気管は5〜28時間。下痢・頭痛・嘔吐・上腹部痛が起こる。予防法としては真水に弱いので、水道水での洗浄、加熱、魚の調理などにつかった器具の洗浄があげられます。

 

  •  病原性大腸菌

これはかなり有名です。なかでもO-157は数年前に死者を出したほど。これは、水の中や保菌者の便などにいます。潜伏期間は2〜20日。激しい嘔吐がおこり、下痢、発熱と続きます。大腸菌自体、自然界にごく普通に存在しているためさしあったっての予防法は手をしっかり洗うこと、生水を飲まないことです。

 

毒素型

  •  ぶどう球菌

ブドウ球菌は私たちの皮膚に常在している菌。黄色と白色の2種類があり、悪さをするのは黄色の方である。手指の傷や化膿したところに多く繁殖します。あと、食べ物ではお菓子(クリームやあんこ)やアイスクリームにいる事があります。(比較的生っぽい物にいるかも。)潜伏期間(この場合は菌が毒素を出すまでの時間)は6時間程度。下痢・嘔吐が起こります。予防法としては、必ず冷蔵すること(5℃以下では毒素が作れない)と、傷のある手などで食べ物を触らないこと(お弁当やおにぎりは特に注意)です。

 

  •  ボツリヌス菌

この菌は嫌気性菌(空気を嫌う菌)です。なので、ふつうの空気があるところでは繁殖しません。ただ、この菌はボツリヌス毒という、かなり高い致死率をもたらす菌で、他の菌とは一線を画すものがあります。この菌は土壌に生息(北海道に多いらしい)しているので、はっきりいって自分で予防できるものではないです。潜伏期間は12〜36時間。神経性マヒ、呼吸困難などを引き起こします。食品では、嫌気性なので、真空ものが危険。缶詰、ハム、ソーセージ、瓶詰めなど。何年か前に、からしレンコンという九州地方の特産物で、この菌が出て死者を出した例があるそうです。一番の予防法は、土壌の洗浄ですが、これは一般消費者には不可能です。自分達でできることは加熱です。80℃以上を15分ぐらいで大体死滅するらしいです。

 

  •  ウェルシュ菌・セレウス菌

これらは、ブドウ球菌と同じ毒素である、エンテロトキシンが原因です。ウェルシュ菌はペットが媒介して発症します。ペットを触ったら手を洗うのが大原則です。

 

2. 自然毒の食中毒

自然毒の食中毒は大きく分けて植物性動物性の2つに分けられます。自然毒の場合は、細菌性のものと違い自分で気をつけていれば防げるのが特徴です。

植物性

  • ジャガイモ

ジャガイモはソラニンという物質を含んでおり、芽や緑色の皮にあります。ソラニン自体死に至るものではありませんが、摂取しすぎるとやっぱり良くないです。症状としては、胃腸障害、めまい、眠気が挙げられます。予防法はなんといっても、芽や緑色の部分の除去。それとソラニンは加熱する事によって分解されるので、よく火を通す事です。

 

  • 青酸含有植物

名前は物々しいですが、実際は大量に摂らなければあまり害はありません。代表的なものは、青梅(種の核)、ギンナン、タピオカイモなどがあります(なんとなくあおっぽいでしょ?)原因の毒は青酸カリです。ただ、青酸カリだからといって警戒する必要はありません。これで死のうと思ったら、ものすごい量を食べなくてはいけないからです。症状としては、胃腸障害(酸ですから)やけいれんがあります。

 

  • 山菜

山菜はそんなに滅多やたらに採ってこない限りあまり出会わないかもしれません。でも、中には死に至るものもあるので、知らない山菜は採らない(触らない)方がいいかもしれません。有名なところでは、ドクゼリ、シキミの実、ハシリドコロ、チョウセンアサガオ、ヒガンバナ、トリカブトなどが挙げられます。ハシリドコロとチョウセンアサガオは同じ毒で狂騒状態に、ヒガンバナ、トリカブトは根に毒を持っています。ヒガンバナは嘔吐を引き起こします。

 

  • きのこ類

きのこはいろんな種類、毒を持っているものがあるので、絶対にそこらへんに生えているきのこは食べない(触らない)のが、一番の予防法です。(私は、きのこはスーパーで買う物と決めています)代表的なものはワライタケ(狂騒状態)、タマゴテングダケ(コレラ様)、ベニテングダケ・テングダケ(けいれん)などが、あります。

毒キノコの見分け方としては

  • 色が鮮やか
  • 縦に裂けない
  • つばがある(きのこの軸にひらひらしたもの)
  • なんかいやーな分泌物が出てる
  • 銀食器を黒くする(硫化物を出している事があるから)
  • かび類

かびも見ればわかりやすいので気をつけていれば基本的には大丈夫です。しかし、ナッツ類についているこうじ菌が出すアフラトキシンという毒性物質は、大量摂取で肝がんに至る事があります。特にピーナッツやピスタチオなどは見た目にわかりつらいことが多いです。輸入物のナッツ類は注意が必要です。

 

動物性

  • ふぐ

ふぐは死に至らしめる毒を持っている魚として有名です。ふぐはテトロドトキシンという耐熱性(熱では分解されない)の毒を持っています。含有部位としては肝臓、卵巣、精巣、皮が挙げられます。毒の摂取量などで第四段階まで分けられます。

  1. 第一度 口唇のしびれ、歩行障害(この時すぐに病院へ)
  2. 第二度 感覚マヒ
  3. 第三度 筋肉マヒ
  4. 第四度 呼吸停止

予防法は絶対にふぐ調理の免許のない人がふぐをさばかないことです!

 

  • 貝類

    貝は年に何度かニュースで話題にのぼる中毒です。原因は水の中に生息している毒性プランクトン(北の方に生息)を貝が摂取することです。なので、食中毒起こす確率はどの貝にもあります。貝の体内でこのプランクトンが含有している部位は肝臓です。症状としては下痢、マヒなどが挙げられます。予防法としてはよく加熱する事です。

 

  • シガテラ(毒名)

シガテラとは毒名で、原因は貝類と同じ毒性プランクトンです。毒素としてはシガトキシン、マイトトキシンがあります。魚のカンパチやドクカマスなどが持っています。貝類と同じような症状。

 

3. 化学性食中毒

物がなかった時代に起こった食中毒

物がなかった時代のことなので、現代の日本ではほとんど起こりえないものですが一応、こういうことだったんだと理解してください。物がない時代・・・もちろんお酒もありません。でも、お酒が手に入らなくてもお酒は飲みたい、そんな人たちが密造酒を作って飲んでいました。しかも、不良密造酒だったのです。普通のお酒はエチルアルコールをお酒と呼んでいます。しかし、物がない時代、良質のエチルアルコールは作れない・手に入らない。そこで考えたのがメチルアルコールだったのです。これは名前こそ似ていますが、エチルとは全然違う代物だったのです。もちろん、体にいいはずがありません。致死量も桁違いです。症状はめまい・嘔吐に始まり、挙句の果てには失明までしてしまうのです。それと、もうひとつ。エチレングリコールという液体です。これは不凍液といって、粘性があり凍りません。これを薄めて飲むと甘味があってアルコール様になることからこれも飲まれてきました。しかし、これもメチル同様、体にはよくありません。嘔吐、呼吸困難を起こして死に至ってしまいます。今ではお酒に関する法律のおかげでこういったことは皆無です。

 

科学が進化した時代に起こった食中毒

これは戦争が終わって、日本が高度経済成長を遂げたなかで興りました。主に、生産・保存・加工の過程に混入しました。ここでは、薬品別に症状と毒物を記しておきます。(トップが毒物名の場合は事件名が入ります)

  • 農薬    パラシオン・スミチオン・・・・中枢神経の異常
  • 殺虫剤   DDT・・・・・・・・・・・・・・・・・・けいれん・昏睡
  • ヒ素(As) 森永ミルク事件(S30)・・・・コレラ様
  • PCD(ポリ塩化ビフェニール)   

カネミ油症事件(米油の中にPCDが混入)(S48)・・・・皮膚炎・肝障害  

  • すず・鉛・亜鉛・カドミニウム

食器・かんづめのメッキ・顔料(色つけ)を使った食器・・・・嘔吐・下痢・頭痛

  • プラスチック食器 ホルマリン・・・・・・・・めまい・頭痛
  • 銅   

緑青(ろくしょう)(銅に生える青いカビ)・・・・・・・・嘔 吐・下痢・けいれん

 

どちらも今ではあまり問題にならないものかもしれませんがこんな事があった(ある)ということを知っておいてください。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

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