#0002/倉科 奏 【name】
貴方をすきだと自覚したそのときから
私の中の凶暴性が、貴方に牙を剥く。
私小説
「・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・もー、ヤダー・・・・・・」
「・・・・館元さんも、キッツイわねぇ。」
あの人は、私が近寄れないように一線引いていて。
・・・私の中の“すき”が見え隠れするたびにその線を段々と濃くしていく。
「キツイのよ。オニなの。アクマよ。あの男は。」
「嫌いになった?」
その線が段々と濃くなっていくのを
目の前に見ていて
なにも出来ない自分がいや。
「・・・・出来ないから、キツイの。」
「そうよねえ・・・」
あの人。
「・・・私のこと、嫌いなのかなあ・・・」
「・・・うーん・・・」
「私、嫌われてるのかなあ・・・」
「・・・うーん・・・」
「・・・・うーん、じゃわかんないデショ!」
「・・・・うーん・・・・」
「・・・・笹生ぉー・・・」
「・・・・あの人の場合。」
「う?」
嫌いなのかな
「嫌いで、ソウを近づけないのとは、ちょっと違うような気がするんだけど。」
「え?」
「・・・・なんか、昔にあったのかも。」
「昔?」
「そ。・・・たとえば、昔のカノジョをまだ引きずってるー・・・とか。」
嫌われてるのかな
「・・・すきなひとが、いるってこと?」
「え、ああ、違う違う。そういう可能性があるかもねッてこと。気にしないで」
「・・・・気にするよー・・・・」
「あー!もー!ゴメン!ゴメンて!!ココ奢るから!ね!」
「いえーい・・・やったー・・・」
「よろこんでないよ・・・・」
嫌いなら、嫌いって、言って。
そうじゃないと、私の心は膨らんでしまう。
膨らんで、膨らんで、重くなって
私は押し潰されてしまうよ。
助けてくれるつもりもないのに
期待させないで。
「・・・・」
助けてくれるつもりがないなら
少しの望みもないのなら
期待させないで。
嫌いだって言って。
「・・・・え?なんかいった?」
嫌いだって言って
私の望みを完全に断ち切って
本当に
一寸の望み
1パーセントの可能性もないのなら
膨らむ思いに釘を刺してよ
「・・・・る」
じゃないと、膨らむ思いが、溢れて溢れて溢れて溢れて
貴方のいるところまで充満しちゃって
貴方まで押し潰してしまうかも。
「え?ナニ?」
それもいいかもね。
私と2人で、止まらない思いに潰されて、窒息死。
「・・・・」
私をあんまり期待させると
貴方の喉に食らいついて
一生放さないわよ?
「・・・・ぶっ殺してやる・・・・」
私の中の凶暴性が、牙を剥く。
いとしい貴方に。
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