『小倉 隆史』
今から3年前、この頃はフランスW杯初出場時の興奮が漸く醒め やっとこさ対戦相手の研究が始まった頃だった。 当時は怖い者知らずの楽観的記事がメディアを賑わせ、 同時に予想メンバーの人選でもまっとうな意見もあれば 骨董品や思い入れの強過ぎるメンバーを公表していた 『プロ』の解説者や評論家も存在した。 勿論、『ベストメンバー』は人の数だけ存在する。 従って自分と異なる、はたまた著しく『?』と思わせる様な 人選であっても悪し様にけなすのはどうかと思う。 (それで食い扶持を稼ぐのは問題だが) そして当時の私はそうやって無邪気に論ずる姿を見て 羨望の思いを禁じ得なかった。 何故なら私の待望するフォワードはどう贔屓目に見ても フランスの地に立てそうになかったからである。 90年代初頭のフットボール関連の記事には一つの法則がある。 ベテラン=ラモス、スター=カズ、そして期待の新人=小倉隆史である。 実際、彼等3人が放つオーラは他のJリーガーを凌駕していた。 経験と技術に裏打ちされたスルーパス、 南米の激しい生存競争に打ち克ったドリブルとフェイント、 そして単なるCFの域を超えるスケールの大きなプレイ。 もしナショナルチームがドーハの地で倒れる事無く、 新大陸の地に辿りつけば彼等3人の経歴には間違いなく 『W杯出場数』の項目が書き加えられただろう。 例え270分間の範囲内だとしても。 無論、現実化されなかった妄想を持って 現役の選手を無闇に持ち上げるのは健全な行為ではない。 だが高校時代の他を圧倒したプレー振り。 手を抜いたとは言え、フランス相手に1点をもぎ取ったプレイ。 そして一部からの『本気の』誘いもあったオランダリーグ二部での活躍振り。 何れも夢を見させるには充分だった。 しかしその夢は現実化される事はなかった。 単なる『不運』で片付けるには余りにも未熟な部分によって。
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