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誇り高き鷹    
       グリフィスという男

 

 ヤングアニマルという雑誌で『ベルセルク』というマンガが連載されているのをご存知か? 世界観としては中世ヨーロッパっぽいが、傭兵が活躍しているところをみるとやや違うようだ。まあ、今回は世界観についてふれるつもりではない。今回触れるのはこのマンガの二人目の主人公ともいえるグリフィスについてだ。

 グリフィスといっても車の名前ではない。ベルセルクを愛しグリフィスを愛したモノならゲーム『グランツーリスモ』などでグリフィスを全種類買うという覇業を成し遂げたものもいるだろう。ちなみに私は弟がプレイしていたので一台買ってもらいフルチューンしてもらったが、たいした感慨はなかった。当たり前だが・・・。

 先にも述べたがベルセルクは傭兵が活躍する戦乱の時代が舞台である。

 この物語の主人公はガッツという戦士である。第一巻から読んでいくと彼は化け物と闘っている。武器は斬馬刀をほうふつとさせる剣。剣といっても斬るというより叩き潰すといった使い方をする。それは剣というよりも鉄の塊といったほうがいいだろう。そして、彼の左腕は義手になっておりそこにはボーガンや小型バズーカがしこまれており、特にバズーカはボス級の化け物である使徒との戦いにおいて決戦兵器的意味合いをもっている。

 ガッツはグリフィスを探している。グリフィスが初登場するのは『欲望の守護天使』という話である。ガッツによってボコボコにされた使徒(使徒は普段は人間の姿をしている、ガッツは魔に近づくと首につけられた烙印がいたみだす。これは相手が強大な魔であればあるほど過敏に反応する。これによって使徒を探すのだ。ちなみにガッツがこのとき使徒をボコボコにできたのはガッツが使徒の娘を人質にとったためである。この使徒にとっては心が魔に支配され人間性をしなっても娘だけは捨てきれなかったものなのだ。ガッツは前半はかなり姑息な戦い振る舞いをするが後半になると「いつの間にか」正統派主人公になっていく)が、死にゆくときべヘリット(卵の形をした石みたいなもん、人の顔のパーツがついている)がその声を聞き血の涙を流した。すると異次元の扉がひらきそこから五人のゴッドハンドがあらわれたのだ。

 そしてガッツの目の先にはグリフィスが立っていた。そう、グリフィスは異次元に住むゴッドハンドなのだ。ゴッドハンドは神の使い(天使)らしいのだがどいつもこいつも悪魔としかみえん格好をしている。グリフィスは全身が黒く背中には大きな翼(悪魔の羽)をもっており顔は口のまわりと目の部分だけは人間のままの姿をしている(黒いゴムの全身タイツをきているといえばわかりやすいか)。ゴッドハンドは因果律で結ばれた者が絶望に陥ったとき、ベヘリットの叫びによってやってくる。つまり因果律で繋がっていないとベヘリットをもっていてもベヘリットは血の涙をながさないのだ。また因果律で結ばれたものはベヘリットをなんらかの方法で手にいれているのだ。すべては因果の流れの中に・・・である。

 そして因果律で結ばれたものの絶望をうめるために願いをかなえてくれるのだ。ただし、その人間にとってもっともかけがえのないものを捧げなければならない。それを失ったときにできる心の隙間に魔がはいりこみその人間は人間性を失い(完全に失うというわけではないらしいが)使徒へとうまれかわるのだ。それは人間を超越したということである。

 ガッツが使徒を倒していたのはこのグリフィスにあうためだったのだ。ガッツは叫ぶ。

「グリフィイス!!」

グリフィスは使徒との戦いに傷つきはいつくばるガッツにむかって

「まだそんなところを這いづりまわっていたのか?」

「黒い剣士だと?とるにたらない存在だ」

 ガッツは立ち上がりグリフィスのもとへと進む。グリフィスは仲間ウチではフェムトとよばれている。そう、ガッツの首に烙印をつけたのはこの男なのだ。この烙印は魔が近づくと反応するのだが正しくは魔がこの烙印によってくるのだ。

 グリフィスのところへ階段をのぼっていくがガッツは意識を失いそうになる。ゴッドハンド級の魔にたいして烙印の反応は大きい。魔が大きければ死ぬこともありうるという・・・。

 が!!ガッツは意識をとりもどしグリフィスに渾身の一撃を!! ふりおろそうとした時、グリフィスが瞳に力を入た!! それによってガッツはふっとぶ・・・。

 話をはさんでゴッドハンドが帰るとき、ガッツはバズーカに弾をこめ発射するが、グリフィスの周りのバリアーにあたって効果はなかた・・・。また、グリフィスはじめ他のゴッドハンドもガッツの存在をどうとも思っていないらしく、特に自分からガッツに止めをさそうとはしてこない。曰く使徒がいくらやられても蚊ほどの痛みもないらしい。

 ガッツはこの戦闘中過去を思い出す。それは人だったころのグリフィスとの話しである。

「この予には世界を動かす鍵として生まれついた人間がいる」

「俺は知りたい!!この世界で何をするべくさだめられているのか」

その時グリフィスは絶対的かつ高貴なものとしてガッツの目に映ったという。

 さて話はここから過去へと移っていく。つまりガッツの誕生、グリフィスとの出会い、そしてグリフィスがゴッドハンドになるまで・・・。

 ガッツとグリフィスはある時、突然出逢う。グリフィスは鷹の団という傭兵団を率いており、ガッツはフリーの傭兵だった。ガッツに対して鷹の団のメンバーの一部がちょっかいをだしたのが始まりでガッツが手ごわいのでグリフィスがでてきたというわけ。グリフィスはガッツをきにいり、決闘をしてお前は負けたら俺のものになれという。激戦の末グリフィスが勝利する。それからガッツはグリフィスとともに戦っていくことになる。

 グリフィスには夢があった。それは王になることであった。少年のころみた遠くに見える城。・・・。それを手にいれるという。だが、グリフィスは平民である(ここらへんのエピソードは語られないが)。それが若くして傭兵団を組織したのだ。普段は温和で冷静であるが、少年のように人なつっこい側面ももっている。また、金が必要なので男色家と一夜をすごし金を集めることもする。また、出世のために邪魔ものをガッツを使って抹殺させたり自分に敵対する一派(王妃であろうと)の自分への暗殺計画をみやぶり逆に謀殺することもある。戦場での作戦・指揮・戦闘も人並み外れたものがあるが、宮廷の裏の事情にも精通している。また、宗教や歴史の本などを読み漁り学をみにつける。戦場での活躍だけでは限界があることを知っているのだ。戦場で活躍すればするほど世の中から戦闘はなくなっていってしまう。ゆえに宮廷で生きる術を身に付けるというわけである。

 彼はいう。人は誰も俺を無視できない。好意か敵意必ずどちらかを抱く。そして俺は好意を友愛に、敵意を畏怖あるいは恐怖にかえる術をしっていると。彼は戦場の功績によって爵位を授けられることになる。封建時代においては平民には赤い血、騎士には青い血が流れているとされ平民から騎士になることはできなかった。「鷹の団」は白鳳騎士団となり、その千人長にも皆、爵位と騎士の称号がおくられたのだ。

 だが、グリフィスはこの後、かつてもらした言葉が原因でガッツを失ってしまう。それは、友人のことである。グリフィスはあるとき皇女と話をすることがありその時いったのだ。

 鷹の団のメンバーは友というよりも部下である。自分にとって友とは対等なものであり、誰の夢にもすがることなく自分の夢のためなら例え自分自身(グリフィス)と対立することになっても夢をつらぬくものが友であると・・・。

 ガッツはそれをたまたま聞いていたのだ。彼はグリフィスに友だと思われていなかったのだ・・・。グリフィスの隣には誰もたつことができない・・・。ガッツはグリフィスの友になるためグリフィスのもとを去る。そしてグリフィスは自分がかけがいのないものを失ってしまったことに気づき、その心の隙間をうめようとする・・・。グリフィスとて人間である。人より大きなことをなそうとするものは人より多く何かに耐えなくてはならない。だが、彼はやがて投獄され鷹の団も壊滅状態に・・・。そして、ガッツに救出されるわけだが・・・。

 ガッツに救出されたグリフィスだが一年にわたる拷問で彼は人の助けなしではいきていけない状態になっていた・・・。ちなみに当初グリフィスは拷問に対して声をあげることはなかったのだが、後半になると声をあげるようになったようだ。意識自体もはっきりしなくなってきていたらしいが。鷹の団の残党とともに生きていくのもいいかな。と思ったときガッツたちの話を聞いてしまった・・・。

「お前はグリフィスの友達になるんだろう?」

 ガッツは自分のともになるために再び自分のもとをさろうとしている。いや、そもそも自分自身がガッツの友であるといえるのか・・・。

 絶望にみまわれるグリフィスの前にあらわれるゴッドハンド・・・。グリフィスは自分を救ってくれた鷹の団を・・・、ガッツを自分の夢とひきかえにいけにえに捧げてしまった・・・(グリフィスは使徒と同様の方法でゴッドハンドになったが、ゴッドハンドという存在は使徒とは違う)。

 多くの人はグリフィスえげつねーというが、私はそうは思わない・・・。ガッツという一人の友に対する態度としては(人道的には×だが・・・。グリフィスには魅力がある)、ガッツは他の連中が殺されている中奇跡的に生き残ることができた・・・。そしてグリフィスを撃つという望みのため進みだしたのだ・・・。グリフィスは悪魔になってしまった、が、二人とも夢を追いつづけている(夢というえるかどうかは難しいがグリフィスの言葉をかりるのならば夢であろう)。

 グリフィスがガッツにむかっていった。いつまで這いづりまわっているんだという言葉も友の声として解釈することができる。つまり、お前がなそうとしていることはこの俺を倒すことだろう? ならばかかってこい、そして俺を倒して見せろ、そんなところで這いつくばっていないでと、盗ることが出来る。グリフィスはゴッドハンドになったときガッツに止めをさすことができたのにさすことができなかった・・・。彼はまだ心のどこかにガッツに対する重いが残っていたのかもしれない・・・。グリフィスはゴッドハンドへと転生するときに

「何千という味方、何万という敵の中でガッツ・・・お前はお前だけが・・・俺に夢を忘れさせてくれた」

と心の中でつぶやいている。

 つまりガッツだけがグリフィスの心に安らぎを与えてくれた。そうガッツこそは友と呼べる存在だったのだ。だからこそ捧げた・・・。ガッツの真の友であるために・・・。彼は心のどこかでガッツにうたれることを望んでいるのかも知れない。たとえ自分がたちはだかっても己の夢にためになら打ち砕くことができるものが友であるのだから・・・。

 なんとも高い志であり、一切の妥協を許さない姿勢。そして本心はいったいどこにあるのかさえ定かではないほど、いろいろな顔を持っている男・・・。自信家・能弁家ではあるが口先だけでなく実力をそなえたうえでのものであり、優しさと冷酷さを同時に備えている。最後には人を超えなければ夢をつかむことはできなかったが、夢をつかむことができなかった・・・ガッツが去ったことで心にぽっかりと隙間が開いてしまったことは人間としての限界であったのだろう。ゆえに彼は人を超越した。自分を支えてくれた全てを捧げてまで。ガッツと友であることを選んだのだ。夢のためならたとえ誰であっても妥協を許さないという姿勢で・・・。グリフィスは鷹だ。決して地におりることのない足のもげた鷹・・・。のぼっていくことしかありえぬ鷹。

 はじめてみたときはただの口先男だと思っていた。ゴッドハンドになったのもガッツを利用してかなんらかの幸運によってなったのかと思った。しかし、そうではなkった。彼は人間でありながら巨大な夢に挑み、友愛と冷酷をもってその道を驀進してきたのだ。グリフィスのように生きてみたいと思うことがときにある。彼のような強さが欲しい妥協なき強さが・・・。

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