インプレッサ始動!! |
まさかこんな漢(おとこ)がいたとは・・・。とあっけにとられざるをえない事態が発生した。なんとバイト先の店長が自分の車をかしてあげようといってきたのだ・・・・。店長の車はすばるのインプレッサ。バリバリのスポーツカーである。以下にその車の解説をしよう。
ことの発端は休憩時間中に先輩と店長のやりとりをきいたことから始まる。先輩に店長が車かしてあげるよ。といって鍵を渡そうとしていたのだ。さらに、走らせるなら浜名バイパスか、という話をしていた。結局先輩はかりなかったのだが、その時の会話と後に正社員の人がいっていた
「店長は発進するときに物凄いふかす」
「店長の操縦でのりたくない」
といっていたので、おそらく店長の車はスポーツカーではないかと思った。それまで車に興味はなかったので駐車場の車に興味をたいして示さなかった。しかし、よくみてみるとあるではないか・・・・。ウイングがついているうえにエアロパーツが装着されている白いスポーツカーが・・・。しかし、この時点では車の名前まではわからなかった。そこで、副店長にたずねてみた。
「インプレッサだよ」
と教えてくれた。初めて聞く名だ・・・。なんで副店長? というかもしれないが、私はバイトのシフトが夜なので、いつも店長と話ができるわけではない(つまり店長が六時に終わる場合、ほとんどすれ違いになってしまう。また、仕事中にそんな話はふれないでしょう)のだ。
実はこの時点ですでに店長の車にのろうと思っていたのだ。それは夏休み故郷の友人が次々と帰郷してきたのだが、どいつもこいつも車をもってきて乗っけてくれた。無意味に夜ドライブするだけのこともあったが、友人の操縦というのはなんだか楽しかった。また、店長の車にかける情熱の話をきいてだんだんと乗りたくなってしまったのだ。同時にそのころ怖くてのれなかった原付きに乗るようになって(バイクの免許をとろうと思っていたので練習のために乗りはじめた)いたこともあり、スピードへの憧れ(?)や、内燃機構の魅力にジョジョにはまっていっていたのかもしれない。
その週の土曜日、その日は店長が最後まで残っている日だった。そこでさっそく店長に車のレンタルを依頼。
「実は免許とって以来、全然車にはのっていないんです」
ともいったが快く鍵をかしてあげようといってくれた。自分の愛車をこんな素人に貸してくれる人がいるとは・・・。が、私はチキン野郎でした。急に怖くなって今日は遠慮しておきます・・・といって帰ってしまいました・・・。
しかし、やはり諦めきれない。店長はあと一週間のチャンスといっていた。来週には異動となってしまうのだ。そこでチキンになってそそくさと帰るとき先輩に話を持ちかけた。先輩は車できているので車の操縦は私よりはできるはず(操縦技術いかんよりも私は操縦することに怯えているのだが)ということで、今度乗りましょうともちかけた。しかし、先輩はオートマに乗っているのでミッションさばけるかどうか不安ともらしていた。
翌日。先輩が他の先輩に話を持ちかけてくれた。もう一人の先輩はミッションの車に普段から乗っているので操縦可能ではないかという話になった。うんうんうまくいっているな。
そして今度は店長が来る日をチェック。うーん、店長が最後まで残っていて私と遭遇する日は土曜日だけか・・・。本当にラストチャンスになってしまった・・・。
問題の土曜日になった。ミッション操縦できる先輩はこの日休みだった。前日にちゃんといっておけばよかったが、前日は私が休みだった。その前の日になんとなくいっていたが念の入れ方が足りなかったようだ。そしてもう一人の先輩も帰るとのこと。ミッション操縦できないといっているからしょうがないなと思ったが、後日きいたところによるとその日は頭が痛かったらしい。本来なら深夜のランデブーにつきあってくれるようだった。
今回はもうひくことはあたわなかった。ここで、ひいたら二度とインプレッサに乗ることはできないし、こうやって逃げていてはいけない。そう思って先輩に写真をとってもらって一人でのりこんだ。友人にいわれたとうりにインパネまわりも写真に収めた。いうまでもなく撮影の許可はとってある。ちなみに、店員用の駐車場は店からしばらくいったところにあるが、道がせまく照明もないので店長がわざわざ店の駐車場までもってきてくれたのだ。
さて、人通り写真をとり終わったらさっそく乗り込む。鍵をさしこんで起動!! あり、エンスト・・・。そうだったミッション車はクラッチを踏んでおかないとエンストしてしまうんだった・・・。今度はちゃんとクラッチを踏んで起動!!
ゴゴゴゴゴ
すごいエンジン音だ・・・。ブレーキを踏んで、サイドブレーキを下ろす。ギアをバックにいれてアクセルをふかす・・・。
グオオオオオオオオオオン!!
ゲッ!!おもわず音にビビッてしまった。さらにタコメーター(エンジンの回転計)に目をやると5000回転くらいまで一気にあがっているではないか・・・。友人が車を運転するとき、彼はいつも2000回転から3000回転で操縦していた。なので5000回転は未知の領域であった。そーいや、この車は3000回転を超えてから真価を発揮するくらいのことを店長がいっていたものの、ちょっと踏み込んだだけでこれだけでるとは・・・。自動車学校ではエンストをよくしていた。それはアクセルの踏み方が弱かったからだ。その時と同じ感覚で踏み込んでみたらこのパワーだ・・・。そこでちょっと踏み込んでみる。しかし、なかなか踏み込みが調整できない。左足のクラッチペダルは踏まれたままだ。正直いってクラッチをつなげるのがこわい・・・。そこで半クラッチでバックしてみる。教習中は苦手だった半クラッチだがスムーズにできた。もっとも、しっかりクラッチをつなげることへの恐怖があったからに他ならないが。そういえば正社員の人が店長はエンジンふかしすぎといっていたのを思い出した。しかし、ふかしすぎではなくそれが仕様だということに気づいた。
客のいなくなった店の駐車場はじつにひろびろとしている。そこで私は二年の歳月をとりもどすかのように半クラッチのままインプレッサを操縦していた。練習用のレシプロ機にのっていた人をいきなり超音速機にのせるようなもので、マシンはさぞないていただろう。しばらく駐車場で操縦していると店長が突然やってきた。実は先に帰った先輩が車でこの場を目撃していた。
「怒られていた」
と彼女はいっていたが、実は店長は忠告にきただけで別に怒られてはいなかった。忠告の内容はエンジンをふかしていると大家さんに怒られるので道にでてくれとのこと・・・。しかし、道ってこの店に接しているのは国道一号線ではないですか・・・。店長はその後、簡単にコースを説明してくれた。国道に出て左折し直進し、左折して国道一号線と平行して走っている一本北側の道路にはいりそこを直進して左折して国道一号線にぶつかるところで右折。そして店に戻るというもの。つまり四角いコースである。
店長いわく
「先をぶつけてもいいから飛び出さないように」
「レッドゾーン(エンジンの回転数が7000回転をこえる)にもってっちゃ駄目だよ(私はそんなレベルではありませんよ・・・)」
店長は残りの仕事を片付けるために戻っていった。
「ヤバイことになった・・・」
本当は駐車場で適当にのっておわりにしようと思っていた。だが、ここでひきさがるわけにはいかないよなあ・・・。
勇気をだして左折の方向指示をだし、国道へとでていくことにした。
余談だが、このインプレッサにはエアロパーツが前面に装着されている(改造した)。エアロパーツは日本の道路のように起伏があるところだと地面をこすってしまう。そのため、磨耗してしまうプラスチックではなくウレタンでつくってあるのをつけたらしい。頭をぶつけてもいいといったが、この場合エアロパーツが地面をこすってもいいといったのか、ガードレールなどにインプレッサの頭がぶつかってもいいから他の車にぶつかるのだけは勘弁してといったのかは謎である。
さて、国道だが車どうりは思ったほどなかった。半クラッチでなくローへとつないでいく。道が広いだけあって余裕は十分になる。セカンド、サードへとつないでいくものの、アクセルはあいかわらずちょっと踏んでいるだけ。ベタ踏みしたらどうなるかわからないからだ。げんにちょっと踏んでいるだけでも十分に通用する速度である。カーブがきた。左折のウインカーをだし、ブレーキを踏んでクラッチをローへ一気にさげる。そして半クラッチで曲がっていく。店長いわく給料を使い果たして買った27万(だったかな?)の新・スポーツタイヤのおかげもあるだろう。スムーズに曲がることができた。あとはそんな感じで無事に帰ることができた。店に入るときに国道一号線から右折ではいっていくのだが、対向車が幸運にもいなかったためスルッとはいっていけた。そして、もとの場所にきてエンジンをとめた。ふー、こわかった・・・。心が昂揚しているのがよくわかった。私は車の前面の放熱口をのぞいたり写真をとっていた。
そして、店長に鍵をかえそうと店にはいっていくと、店長達がこちらにむかってきた。どうやら仕事が終わったらしい。そして一緒に乗ってやるよといってくれた。
さっそく助手席にのりこむ。ティッシュが置いてあったが店長の指示どうり後部座席にほうりこむ。後部座席には白虎の毛皮のようなシートがかぶせてあり居住性もよさそうだ(どーでもいいが)。
そして道にでる。店長は私に車酔いしない? と聞いてきたので
「しません」
と答えると店長は突然、高速でミッションをつなぎだした。速度は一気に100キロに達する。そしてそのまま高速道路へとむかう。スポーツカーは最高速度の設定が高いものとばかりおもっていたが、加速力もやはり全然違うということを痛感した。
高速道路にはいると再び店長は高速クラッチによって一気に加速していく速度はっというまに180キロに!!
しかし、残念かな、200キロに到達しようかというときに一気の速度が落ちてしまった。リミッターが作動してしまったのである。そして100キロくらいで走行した。しかし、180キロの時限に到達したものにとって100キロとはなんとも低速である。店長いわく高速クラッチは奥さん以外の人を乗せているときはやらないという。奥さんはなれているからというが、こういう人の奥さんになる人はなんとも立派である。小生に対してもやってくれたので実はそこはかとなく嬉しかった。ちなみに半クラッチはやってはいけないということらしい(マニュアルにかいてあったという)。小生がやった分くらいならいいでしょうと見逃してくれた。
その後、帰り道できいた話だが、クラッチはどんどんつなげていく(つまりアクセルを踏み込まずに低速できりかえていけば)たいしえt速度はでないらしい。この辺は一般の自動車と同じだという。つまり、アクセルの踏み込みによるパワーの供給が長大だということだ。
店長に店まで送ってもらっておろしてもらい、そこでお別れをした。心臓の鼓動がきこえた。指や腕、足にいたるまで全身にゾクゾクとした心地よい刺激が残っていた。心臓の鼓動が激しくなったため血流の速度があがり暖かい血が全身をかけめぐっているためだろうか。全身には緊張感と昂揚感がまじったような感じだった。店長のインプレッサの四つの赤いテールランプを両目でじっとみつめていた。
そしてインプレッサのテールランプが幸せのガレージへ導いてくれることをひそかに祈った。
車とはんだろう? 乗り物? いや違う。あれは走るものだ。
しかし、店長は凄い漢(おとこ)だ。素人に車をかしてくれるわ、国道を走ることを許可する(というか推進していた)は、高速をぶっとばすわ・・・。また、信号待ちなどで隣にやる気マンマンのGTRなどがくると信号はまさにサーキットのシグナルと可して勝負がはじまるという。いわく加速ではまけるが追い上げで勝つ(確かそうだと思った)といっていた。店長という役職にありながらスポーツカーというのも、そもそもイカス。仕事面でもうっかりしていたということがシバシバあるが、しっかりとフォローしてくれるので頼りがいもある。
車にかける情熱。それは今まで小生が興味のなかったものであった。しかし、店長のあふれる情熱(なんでも、結婚するときも車の借金が残っていたらしいし)がインプレッサのエンジンの鼓動が小生の心を大きくゆらした。やはり確固たるポリシー、自分の世界をもっている人間のいうことは違う。例え自分が興味がなくともその気にさせてしまう力がある。
「車は乗り物ではなく、走るものだ!!」
と思えたし
「車(馬)には乗ってみよ人には添ってみよ」
という言葉の意味もここに来て本当の意味で理解できた。恐縮ではあるがヘレンケラーがはじめてwaterの意味がわかったのと似ているのではないか。
まさに俺に情熱とロマンを与えてくれたマンガの世界にしかいないような早川健のような豪放な漢(おとこ)だ。副店長や親父は俺みたいな人間に車をかすとは危ないなあと常識的な回答をしていた。もちろんそういう意見はもっともだと思う。でも、店長みたいなちょっと常識を跳躍した考え方の兄貴や親父がいてもいいと思う。店長はまさに兄貴(兄さんではなく)だった。俺もいつまでも自分の世界を大切にしていきたし、店長が教えてくれたスピードへの憧れ、内燃機関への憧れも大切にしていきたい。俺もできれば店長のような豪放な人間になりたいと思った。
魂に火をつけろ 真っ青に燃え尽きちゃう前に My soul is flying like a Fair Ball クズのような悩みも灰になれ
どんな国境も自由にこえてしまえー 飛んでいける空をもやしながらー 夢のもとへそして自分のもとへ・・・
あなたの魂の色はどんな色ですか?
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