二輪の書
(巻の弐)
さて巻の壱に引き続いて巻の弐ではいよいよ二輪の教習へと突入していきます。
ちなみに私は自動車教習は大幅に時間数をオーバーしているほど不器用であることをあらかじめいっておくことにします・・・。
入所当日は適性検査と教官のお話。所長いわく
「絶好のバイクシーズン到来」
そりゃないでしょう・・・。もう11月も中盤よ・・・。どんどん寒くなるばっかでしょう。バイクきついって・・・。
しかしその後にいっていた。
「バイク免許を取りにきたということははとりたくてきている。」
「バイクは車よりもスポーツ性に優れ、乗る、見る、後ろに乗るというみっつの楽しみがある」
うーん、いい言葉だ。
教官の話によると今まで教習(実技)で一番時間がかかった人は55時間(確か)だという。ちなみに普通二輪は規定どおりなら17時間で卒業できる・・・。結構きついんじゃねえかな・・・。自動車学校の記憶がよみがえる。
なんと55時間かかった人は自転車に乗れなかったらしい。速度がでるほうがバランスは安定する。が、カーブでのバンクや低速での移動、発進はバランス感覚が必要とされる。自転車に乗れる人は無意識のうちにやっているバランスとりができないのはやはりきつい。自転車にのれる人でもバイクに乗ってバランスを崩すことはあるのだから。自動車は自転車にのれなくてものれるがバイクは自転車に乗れないと乗れないような気がするけどなあ・・・。しかし、そのチャレンジ精神には感服する。できないと決め付けずに挑戦し、免許をとったことはまぎれもない事実なのだから・・・。
その後。適性検査が行われる。まあ、知能テストみたいなやつなんですが私はどうも早く正確にというのが苦手らしい・・・。しかし、次の筆の染みをみて何を連想しますかというのはなんだろうねえ・・・。忍者とか悪魔とかという選択肢もあるし。しかも答えないと進めないようになってるしさ・・・。結果をみてみると運転技能は低いのはおいといて(前回もそうだった)、自分勝手で冷血とかかいてあってかなりむかつきます。あながち間違っていないのが。ちょうどそのころクレペリン検査とか性格診断テストとかやって自己分析をはじめていたころなんでちょうどよかったといえばそうなんですが、ちょっとショックですね。かろうじて素直な性質である(これはクレペリンにもあった)というのが救いですが。しかし自分勝手で冷血で素直っていうのははたしていいんだろうか? いい悪いじゃないよといわれるかもしれませんがね。
私は自動車免許保持者なので学科教習はなし。実技だけやりにくるというのは結構楽しい。学科は自分の予定を時間割にあわせないといけないが、実技は自分の都合のいいときに受けることができる。
最初の教習はバイクの取扱い。ちょうど新型の大型バイクがきていたので教官がふいに
「大型(免許)とるんでしょ?」
と私にふってきたが
「とりません」
と一蹴してしまった。ビッグバイクの魅力はわかるが(今なら)、ビッグスクーターにのりたいのだ。
バイクをおこすという教習もあったが私はもちあげれなかった。無理をして腰をいためて終了という人もいたので無理はしなくていいといわれたので無理をしなかったらこの結果だ・・・。
次にバイクに実際に乗ってみる。おお、スタートボタンで起動するぞ!! 私のスクーターはバッテリーがあがっているのでキックでないと起動しない。起動に関してはバイクのほうが楽だと思った。しかし、ビッグスクーターにのるのにミッション車とは(ビッグスクーターはオートマ)・・・。しかも教習車は400CC(私が欲しいビッグスクーター250CC・・・400CC以上のビッグスクーターもたくさんあるんだが)。
ミッションバイクは右手のグリップがアクセルになっている。手前にひくとエンジンが唸る。自転車と同じように右手にはブレーキがついている。ちなみに原付は左手もブレーキになっているがミッションバイクの場合はクラッチレバーになっている。握り締めるとクラッチがきれる。車のクラッチと同じだが足よりも手のほうが微妙な操作ができる気がする。
ちなみに左足の先はブレーキペダルになっている。つまさきを前に倒すとブレーキがきく。ブレーキが二つもあるのかという人もおられるでしょう。右手のブレーキは前輪ブレーキで非常にききがよい(きき過ぎて危険なくらい)。右足のブレーキは後輪ブレーキで前輪ほどききはよくない。この二つのブレーキを巧みに使い分けることが重要なのだ。うーん、スポーツマシィーン!! 大変そう・・・。原付のくせで右ブレーキよく踏み忘れるし。
ちなみに教習車はカスタムカーである。といっても安全配慮の改造である。車体の両方にはフレームがでていて転倒したときに足がバイクの下敷きにならないようになっている。また、前と後ろには複数のランプがついておりランプの点灯によってギアやブレーキの状態がすぐにわかるようになっている。
クラッチを握ってエンジン起動。アクセルをふかしてエンジンの回転を二千回転まであげる。そしてクラッチをジョジョに緩めていく。ローギア(一速)半クラッチ(クラッチを完全につなげないで半分くらいつなげて、エンジンの動力を半分くらい伝えるようにする)で前進し速度がのってきたらクラッチをきり左足の変速機をけりあげセカンド(二速)へ。クラッチレバーをジョジョにゆるめて今度は離してしまう。
ミッションバイクの左足のつま先部分には変速機がある。これをけりあげるとギアが一つあがり、踏みつけると一つさがる。ちなみに一速と二速の間にはニュートラルといってギアがはいっていない状態がある。弱く蹴り上げるとニュートラルにはいるのだが教習中にニュートラルにはいって慌てたことが何度かある。最初のころはニュートラルにうまくギアをいれれなかった(停止するときはニュートラルにいれなくてはいけない。また、ニュートラルにいれないで手でバイクをおしていくことはほぼ不可能)。
教官はブレーキについてしっかり使うようにいった。以前ブレーキをうまく使えずフェンスに激突し教習所から飛び出して向かいの店までふっとんだ者がいるという・・・。教習所のフェンスにはマットがとりつけてあるがぶつかってもいいようにとのことだ。所長がいうにはマシンはいくらボコボコにしてもかまわない(随分ボコボコにした)が、皆さんは生身の人間だから注意してくださいねとのこと。ちなみにメットのほかに膝や肘を防御するプロテクターをレンタルしてくれる。よくある話だが武装しなかったときに限って転んだりするものだ。他にもウインドブレーカーや雨合羽もかしてくれる。例の自動車学校ではメットやブーツのレンタルは有料だった。でも、ここはタダである。ただしメットをレンタルするときにはあらかじめインナーキャップという紙でつくった水泳帽子のようなものをかぶっておかねばならない。髪の油などがメットにつかないようにするためだ。最初の説明のときに教官がかぶってみせたが寿司屋の親父みたいだった・・・(笑い声がきこえました)。
年間1600人を卒業させている学校だけあって教官の教え方はうまい。自動車学校の教官と違い面白くて優しく個性的だ。もちろん厳しいこともいわれたが。教習所の壁にはインストラクター大会で優勝した教官やらロードレースで優勝した教官の記事がのっている。すごい人らに教えてもらっているのが実感できる。できる人ほど下手な人に対して余裕をもって的確に指導できるということか。私も見習いたい。
さて直進、カーブの走行ができるようになると左折・右折の教習がはじまる。カーブよりも低速での移動が必要とされる。同時に発進してすぐ停車する練習も行う。教官の後ろにのっけてもらったがなかなか楽しい。その時の教官も面白い人で
「楽勝だろー」
とよくいってくれた。私に対して楽勝だろーといってくれる人がいるとは。つい期待にこたえたくなる性質の私は要求どうりこなしていった。クランク(直角に曲がる狭い道)も練習したが一発でできた。自動車のときよりも見渡しはいいし、目印のついているポールがあり、目印のポールにバイクを近づけて進んでいけばクリアできるようになっている。
坂道発進も同時に行った。坂道では右手のブレーキは使わず足ブレーキだけで対応する。右手はアクセルをふかすからだ。アクセルを3000回転までもっていきクラッチを緩める。そしてそのままスルスルと登っていく。私は途中でアクセルを緩めてしまいエンスト。教官いわく
「男はいつでもぐっとこらえるのが大切だ」
なんかインビンなニュアンスにとらえられなくもないが、アドバイスどうりにぐっとこらえるようにした。
鋼鉄の馬に何回かまたがるとシュミレーション教習が行われる。ゲーセンにあるバイクの体感ゲームみたいなやつだ。カーブの体験走行ということで速度を落とさないでカーブを曲がる。実際にやると危険なのでシュミレーションということらしい(あとで覆されるが)。二人で教習をうけたのだが、最初にプレーした人は何回かカーブをまがり無事クリア。次は私。教官の指示で右にでていく。先にやった人は左だった。最初のカーブを車線をはみだしつつもまがる。車線をはみだすのは速度がでている以上仕方がない。二つ目のカーブをまがると前にトラックが停止している(左手側には崖があるので前方はよくみえない)。ヒヤっとしたが遠心力で右車線に侵入しているのでなんなくかわせた。(驚かせやがって)
と思ったら前方からトラックが出現!!おいおい!!見事正面衝突した。
教官いわく
「ちゃんとかわしてよ。」
無理です。
教官いわく
「トラックの右の間にははいれんか?」
といってきた。しかし、遠心力でカーブをふくらんで曲がっているので左端の隙間にはいるのは難しい。つまりカーブを速度だしすぎで曲がっては駄目だということらしい。
教習のはじめに、いつも慣らし走行をやる。教官のあとについてみんなで走っていく。教官によって慣らし走行はさまざまスピードをだして(低速と高速を交互にいれる)ぶんぶんいく教官(私は苦手)。スラロームや一本橋といったテクニカルコースを進む教官とさまざま。まあ、教官同士で上手くバランスをとっているのだろうと思うが。二輪の教習は一対一ではなく教官一人につき複数の教習生がつく。教習生のやることはそれぞれ違うので、最初に課題をパッと言ってあとは自分達で走り、教官が適宜指導したりする。担当の教官は一応設定されているが担当でない教官もちゃんと指導してくれる。
教習が進むとコース練習(決まったルートを走る。ルートには各種課題がある)になる。コースは間違えても可だという。覚えるのは簡単かもしれないがバイクに乗りながらたどるのは難しい。コース練習はあくまで課題をこなすのが目的であってコースを覚えるのが目的ではないということだ。コースを覚えようとじっくりとコース図をみているよりはどんどんバイクに乗りましょうということらしい。教官も
「説明は短く乗る時間は長く」
をモットーにしているようだ。コースに配置されている課題は以下にあげるものである。
スラローム・・・等間隔に配置されたパイロンをかわしながら進むものである。結果的にジグザグ走行になる。パイロンをかわしたらアクセルをいれて体勢をたてなおす。普通二輪は八秒以内で突破しなければならない。ちなみに私は苦手である。うまくできたのは一回だけだ。アクセルをうまくふかすことができなかった(チキン野郎)。
一本橋・・・狭い橋の上をゆっくりと通過するものである。速度をだせば一気に突破できるが、低速では高度なバランスが要求される。橋にのるときは速いスピードでいっきにのり、足ブレーキと半クラッチの操作でゆっくりと進んでいく。普通二輪は七秒以上で突破が目標である。バランス感覚のなさには絶対の自信があったが思っていたより苦労しなかった。案ずるより産むが安とはまさにこのことだ。バイクは車輪が太く機体が重い分バランスはとりやすいのかもしれない。ただし、風が吹いてくるとどうしようもない。速度が低いともろにあおられてしまう。
急制動・・・急ブレーキをかけて停止するものである。40キロの速度でブレーキをかけ、11メートルで停止せねばならない(雨のときは16メートル)。目印のパイロンを通過したらアクセルを離し足と手のブレーキをかける。一気にぎゅっとやるのではなくじわじわとやる。一気にやるとタイヤがロックしてしまい距離がのびてしまう。そしてバイクが停止する寸前にクラッチをきる。いきなりクラッチをきらないのはエンジンブレーキ(エンジンが回転していないと車輪の惰性で進んでいる力が逆にエンジンを回転させることに使われる、結果として速度がおちる)の効果をえるためだ。何度もロックさせてしまったことを覚えている。教官もいっていたが体の感覚が大切である。
他にも先に述べた坂道、クランクやS字や八の字がある。これらは時間制限はとくないのでクリアすればよい。S字、八の字は二速で一気にいったほうが速度が安定してよいようだ。
これらの課題が一定以上できるようになり規定時間がすぎると、第一段階は終了となり第二段階になる。
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