八ヶ岳開山祭山行



実はこの山岳会に入会して初めての高山の企画は開山祭「硫黄岳」企画であった。
1年前のちょうどこの時期、台風がやってきた。
山の経験が浅い私はさすがの台風におりてしまった。

それから、なかなか私が参加できそうな企画もなく1年が過ぎてしまった。
そしてまた、八ヶ岳開山祭の時期がやってきた。
「リベンジ」である。

そしてこの土日は、梅雨に入る前の最後の土日である。
是非とも参加せねば。


○桜平駐車場着。車で仮眠し、夜明けを待つ。


今回、桜平駐車場まで運転してくださったのはウメさんである。
なんでも、私のために何回も携帯に電話してくださったそうで
でない上に、留守電も繋がらなかったらしい。
私は「アンチ携帯」で仕事上、いやいや持っていて使い方もわからないのである。

とはいうものの、携帯の使い方も解らないのは他人に迷惑なので
勉強して留守番電話を自分の携帯電話にさっそく設定した。
ここまでくるとマナーですね。
(自分の携帯の着信音を聞いたことがありませんし・・・)

そんな話はさておき、ウメさんの運転する四駆車が中央道に入る。
なんと関東発かわうそ車が多数、談合坂で休憩をとっている模様。
そんなウメさん車は談合坂目指してひたすら飛ばす。
(真夜中の中央高速は爽快です。)

そして、談合坂PAでみなさんとご挨拶。
みなさん元気だ。
こんな強行山行、普段はしないから私はもう疲れている・・・。
(真夜中まで遊ぶのは学生の時以来、ほとんどしておりませんし・・・。)

そして、合流した車はひたすら深夜の中央高速を進む。

桜平駐車場に到着するとなんと、暖をとっており、宴会の跡が・・・。
すごい、活力のある方たちである。
普段は軽い山指向の会でのんびり山行をしているので
山行モードを切り替えねば・・・。

しかしまあ、到着を待っていて下さって有難い心遣いである。
感謝。


○朝を迎える


車の中でうとうと仮眠をとり、気づくと周りが明るくなっている。
素晴らしい天気である。寝不足ではあるがとても気分が良い。
そして、朝食をとっていると豚汁のようなものを頂く。

それにしても本格的に山をやっている人はほんとに「違う」。
いつまで世話になってしまうのだろうか。
(肉体労働以外でなにかあれば考えなければいけない・・・。いずれ)

そして、装備を整え、いざ出発!。


○夏沢鉱泉にむけて歩く


今回の山行リーダーの会長さんがゆっくりペースで歩いて下さる。
山のベテラン達からするとこのペースは「ストレス」っぽい。
自分の足でこの高度の山にチャレンジするのは学生時代以来なので私的には大変助かりました・・・。
私でも沢や木々を楽しむ余裕がありました。


○夏沢鉱泉にて


しばらく歩くと、夏沢鉱泉に到着。
荷物を置き、振り返るとなんともまあ、素晴らしい景色である。
やっぱり、来て良かったよ。
なんか、こういうことだけして過ごせる職業はないものかなあ。
(日常の自分が悲しすぎる・・・。)

八ヶ岳の小屋で小屋番の経験のある会長さんは小屋の人と話をして、
そうすると奥から荷物の山と背負子が出てくる。
もちろん硫黄岳山荘まで我々で持ち上げるようだ。

山のベテラン達が順番に担いでいたが、ほんとにすごいですね。
山小屋で売っているものが異様に高いと時々思うのですが
小屋の山男たちがこうやって荷物をあげているのでしたら
山小屋では貴重な食料品であります。ほんと。食事は残してはいけません。


○オーレン小屋目指して歩く


それから、そばで大荷物を担いでいるメンバーをみて「すげーな」と内心思いながら
私は緑や沢の美しさを味わいながらゆっくりと登る。


○オーレン小屋にて


夏沢鉱泉から小一時間ほど歩くとオーレン小屋に到着する。
このあたりからだんだんアルペンムードが増してくる。
「私も高山にやってきたんだ。」なんて感じですかね。

ここでは、おいしい水を飲むことができ、高山植物もちらほら見ることができる。

椅子があり、テーブルがあり山男たちが周りで歓談している。
天気もいいし、ほんとに気持ちいい。


○夏沢峠にて


オーレン小屋を出発すると、気持ち周りの木々が低くなっているような気がする。
植生限界が気持ち近いのだろうか。

しばらく歩いているとすぐに夏沢峠に到着する

ここで昼食となる。
ところで日差しが刺すように痛い。
腕を見るととんでもなく日焼けしている。
もう手遅れだ・・・。

硫黄岳の方をみて、とよさんが硫黄岳は「風雲たけし城」だという、
確かに山様がそんな風に見える。
しかしあのテレビ番組のように登るのか・・・。
って心配していたら実際の登山道は違うとのこと。

そして、あの重い荷物の背負い手はゴウさんに。
(まじめにこれはすげーや。)


○硫黄岳山頂にむけて(植生限界まで)


夏沢峠を出発するとすぐに斜面崩壊地が。
ちょっとじっくり観察したかったのですが、斜面崩壊地の興味より
高所の恐怖のほうがすごくて、そそくさと通ってしまった。

のんびりのんびり登ると、ほんとに植生の背丈が低くなってくる。

後ろを振り返るたびに景色が素晴らしく変化してゆく。

いよいよ、植生限界突破か!?。


○硫黄岳山頂にむけて(植生限界より)。


とうとう、植生限界を突破する。
いやー。ついにやってきました。高山地域。
ここから出会うお花たちは皆、高山植物とのこと。

空は青く高く、見晴らしも遠く、アルペンの世界にやってきた。

こんなすごい道をゴウさんは荷物を背負っている・・・。
(ほんとに山は大変だ・・・)。

そんな我々の集団のそばを爽快に通り抜けようとしながら会長さんに声をかける人物が。
会長さんと気持ちよく会話をして、我々に山の解説をしてくれる。
面白い縁がいろいろあるようです。

後ろのほうから「あっカモシカだっ」という声に反応して目を上に向けるとカモシカが見える。
どうやらカモシカは「山の神様」らしい。
ほんとに山は不思議なところだ。

そんなこんなをしていると我々を呼ぶ女性の声が山頂の方から・・・。
山頂で待っていたさとみ先生である。

ついに硫黄岳山頂も間近か。


○硫黄岳山頂


硫黄岳山頂からのパノラマ画像

とうとうやってきました。硫黄岳山頂。
天気は良好。素晴らしい見晴らしである。360度パノラマである。

八ヶ岳の本に掲載されている通りの風景がそこにありました。

ほんとに来てよかった。なんで私はこんなにもつまらない毎日を送っているのだろうか。
こういうところへやってくるといつも何か不思議な感情に襲われる。

そのうち私は社会不適合を起こすのではないだろうか。(もう十分不適合か・・・)

そしてカメラマンikeちゃんの記念撮影。


○硫黄岳山荘に向けて歩く


硫黄岳山荘のほうへ目を向けると、稜線がはっきりと見える。
都心のオフィスビルの一室で「山と渓谷」読みながらいつかは自分の足で歩きたいと思っていた風景である。

一歩一歩がとても快感である。
気分はさすらいの山の旅人。
(なんて気取っているが自力ではなかなかここまでこれないでしょうね。)

しかし、寝不足のせいか頭が少し、重くて痛い・・・。



○硫黄岳山荘到着


真っ黒に日焼けして硫黄岳山荘に到着。
硫黄岳山荘の入り口付近には椅子とベンチがあり、山男・山女達が歓談している。
風景に目をやると、山の斜面の緑が鮮やかである。
ちょっと、斜面を散策して地面を見ると所々花が見える。いいところだここは。

そして、室内に入る。
天気も良く、本日は開山祭である。小屋の中は活気で満ち溢れている。
本日の開山前夜祭のイベントのお知らせが柱に貼ってある。
(達筆で山小屋らしい!?。)
こんな活気のある山小屋ですが、小屋の山男たちは夏山シーズンより
少ない人数で働いていて大変なのだそうだ。

一行が食堂に集まり、宿泊費を集金すると冷たい麦酒が出てくる。
このおいしさは文章になりません。
職場で飲む ”まずい麦酒” とは、雲泥の差です。
なんで麦酒は飲むとき、飲むとき、いつも味がこんなにも違うのだろうか。
(キリンやサッポロが研究しているのだろうか・・・)。

しかもこの麦酒、体力に自信のある我々の仲間が担ぎあげたものである。
「すごい」と思うと同時に有難い。

小屋で「かわうそ」と言った瞬間、身内扱いのようで
忙しい小屋の仕事を手伝ってあげたら、と言われたが
軟弱な私は寝不足で頭痛がするので、自分の寝床でフォルクローレの時間まで横になることにした。


○小屋主催の開山前夜祭。フォルクローレの演奏から山岳信仰を感じてしまうのは私だけだろうか。


うめさんの呼ぶ声で目が覚める。
フォルクローレの時間はとうに過ぎて、夕飯の時間になってしまった。

食卓に行くと、通常の夕飯に加えて地酒が振舞われ、様々なスペシャルメニューが食卓に上っている。
私も天麩羅を肴に地酒をちょっとやってみる。(ここは山だ。飲み過ぎないようにせねば・・・。)
これはなかなかいける酒である。くいーと飲めてしまう。
そうすると、周りの人がどんどんついでくれる。
飲みすぎてしまう・・・。おいしいんだけどここは自制せねば。危険だ。

かなり豪勢な夕飯のあと、小屋から日没を眺める。
明日もなんとか天気がもって欲しいところなのだが。

そして小屋に戻り、頭が痛くて重いのでまた横になる。
しかし、階下からフォルクローレの演奏が聴こえてくる。

何事かと思い、階下に降りるとフォルクローレ第二部だそうだ。

演奏者に目を向けると、アンデスの民族衣装を着ている。
フォルクローレの演奏と、私が汗を流しながら登山した硫黄岳までの風景を重ねあわせる。
あー、それだけでも不思議な気分となる。

山の自然はすごすぎる、こういった人々の思いから山岳信仰が生まれたのだろう。
人種に関係なく、人類共通のものだろうきっと。

そして室内の盛り上がりは最高潮に達し、室内の人たちが立ち上がる。
(SPEEDのライブとどこか共通項がどこかあるような気がしますが・・・。)
私もフォルクローレの雰囲気に飲まれ、山にいるんだと、強く感じました。
この一室から発している言葉に表現できない不思議なエネルギーも感じました。
(帰宅してからフォルクローレのCDを買ってしまった。)

なんだか気分が高ぶって就寝。


○ご来光、そして朝食


かなり、寝ていたのでまだ夜明け前に目が覚める。
頭痛が治り、頭も軽い。
たくさん睡眠をとって正解だった。

ヘッドライトつけて稜線上へ出る。
やはりここは高山地域だ。寒い。

ご来光を待ち続けじっとしていると。寒くて仕方ない。
辛抱に辛抱を重ねていると、やっと朝日が見えてくる。
だんだん、まぶしくなってくる。美しい。

そして小屋に戻り、朝食を頂く。



○天気が崩れるまで赤岳に向けて行けるところまで行くことになる。(横岳の鎖場まで)


天気予報ではどうやら午前中には雨が降り出す模様。
でも、辺りの見晴らしはとても素晴らしい。

山行リーダーである会長さんが天気が許すまで赤岳に向かおう。ということになる。
稜線上の花たちは昨日までの花たちとはまた一味違うとのこと。

赤岳に向けて稜線歩きとなる。
八ヶ岳の稜線、高原植物の花たち、そして視界に入る下界。
見事に絵になっている。

私の頭の中ではまだ昨晩のフォルクローレの演奏が続いている。

もう、最高の気分である。


○鎖場、そして横岳


気分良く歩いていると、会長さんが立ち止まる。
ここから先は横岳山頂まで「鎖場」と「はしご」だそうで
注意事項を説明して下さり、気を引き締める。

結構、足を踏み外したら危険そうな道もありましたが
宝剣岳の危険ルートを一応は経験しているので
いたって冷静ではありました。
(あんまり、おっかない道には行きたくないのも本音なのですが・・・)

気を引き締め、登りきると横岳山頂であった。
あー、ほんとに素晴らしい景色だ。
こういう、日常とは時間の流れ方が違う日々はほんとに楽しい。
毎日、毎日つまんなくなっちゃうよ。


○横岳から赤岳に向けて天気が崩れるまで頑張ることにする。


横岳からさらにもう少し先に進むことになる。
赤岳が雲に覆われてくる。

周りの仲間たちが「あの辺、もう雨が降り出してるよっ」て。
下界の方に目を向けると雲がどんどん張り出してきている。

私ももうしばらくすると雨が降り出してくるような気がする。
また周りの仲間たちがこのペースで歩くと赤岳山頂までも、まだ2時間位あるとのこと。

そんな中、会長さんが一生懸命、高山植物の説明をしてくださる。
このあたりの稜線上はいろんな高原植物が見られて素晴らしいらしい。


○さらに奥へ、奥の院辺りで雨に降られる


花たちを見ながら、雲が展開して行く空をみながらもう少し進む。
こういう景色というのも結構、趣あって綺麗です。

縦走って、こんな感じかな。よく考えると、こういう縦走するのは、生まれて初めてなのであります。
ですから一歩一歩がとても楽しいですし、一歩一歩、変わってゆく景色に好奇心がかきたてられます。

そしてとうとう、雨に降られる。
これまでの展望がうそのように一気に展望がなくなる。

みなさん、雨具を装着して引き返すことになる。


○雨の中、硫黄岳山荘へ戻る


雨の中、行き以上に「鎖場」と「はしご」に注意を払い慎重に足を置く。
視界のない高山は1人だととても怖いが、これだけのパーティーで歩いていると「幻想的」である。

幻想的な山歩きの後、硫黄岳山荘に戻る。
ここで、昼食となる。

ところで、硫黄岳山荘の便所は細菌を利用して分解して、自然に土に返すような便所になっている。
今はやりの循環型社会の一つかな・・・。

山で生まれてはじめてのウォッシュレットトイレでした。
高山地域にこんな綺麗なトイレははじめてです。

腹を満たし、休憩し、下山を開始。


○昨日とは全く違う、硫黄岳山頂


山小屋を出てすぐに硫黄岳山頂に到着する。
昨日とはうってかわって全く展望がない。

山はこんなにも天候で環境を変えてしまうことを、身をもって体験した。
山頂にはあまり長時間滞在せず、下山を開始。


○赤岩の頭へ


霧雨の中、植生限界の上を歩くというのは何か不思議なものがあります。
足元に注意しながら、不思議な気分を感じながら一歩一歩下山いたしました。

そうすると、すぐに赤岩の頭に到着する。

ちょうど昨年のこの時期は、この辺りに雪渓があったとのこと
今年はないようだ。

この辺から植生限界の下を歩くことになる。


○オーレン小屋に向けて


オーレン小屋に向けて、ただひたすらもくもくと一歩一歩、足をおき、下山いたしました。

ただ、展望がないながらも八ヶ岳の縞枯れ現象の木々を見て、下山する余裕がありました。

オーレン小屋が近づくと完全に樹高は高くなっておりました。
あっという間に下界におりてしまいました。

○オーレン小屋にて


昨日はオーレン小屋では山男や山女が歓談し、天候も素晴らしく活況を呈していた小屋も
なんか本日は静かです。

小屋の人と我々一行のメンバーが話をしましたが、
小屋の人曰く、昨日は開山祭でほとんど寝ていないとのこと。
もう、今日は早く寝よって。

天候もさることながら、祭りの後の静けさってやつか。

またまた、水を飲み、ペットボトルに水を入れまた登山道を下る。


○夏沢鉱泉に向けて(雨で昨日とは景色が全く違う。)


昨日、歩いたすがすがしい視界の晴れた昨日とはうって変わり、
完全に霧の中である。しかし、木々と深い霧、とっても「幻想的」でありました。

そして、体は正直なもので足が痛くなってまいりました。


○夏沢鉱泉そして桜平に帰着。昨日とは別世界。


昨晩、夏沢鉱泉から見えた美しいアルプスの姿はその影も全くなく、
静かな、じめっとした雰囲気でした。

2つの姿が見られてある意味、ラッキーだったのかもしれません。

そして、桜平駐車場の最後の上りが非常にだるい、ということでしたが、
「もうそこがゴール」とわかっていましたので、最後の力をいれて、ペースをあげて
登りきってしまいました。

そして、駐車場に到着して、開口一番「無事に帰ってこれた(本音)。」ってことばがでました。
しばらくして「こんな私でもきちんと往復できた」という達成感が沸きあがって参りました。

私的には大きなことを一つ成し遂げたようです。


○縄文の湯にて汗を流し、ざる蕎麦をいただく。


縄文の湯に到着し、腕を洗おうとすると痛くて触ることすらできません。
湯船には万歳して浸かりました。
そんだけ日焼けいたしておりました。

そしてやっぱり信州にやってきたのだからと、「ざる蕎麦」をおいしくいただきました。

また、帰りの中央高速も談合坂PAで時間調整を上手にやり、
関東かわうそ車達が、仲良く(!?)帰途に着きましたとさ。

日々精進です。ほんと。では。



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